浦野 房三 Fusazo Urano
 
問1,関節リウマチは遺伝するのでしょうか?
kkkkまた、なぜリウマチになるのでしょうか?


病気が直接に遺伝する遺伝病ではありません。なりやすい体質にウイルスなどの微生物の感染が加わって,免疫の異常がおこり,その結果、発病するといわれています。自己免疫疾患という病気の概念がありますが,自分の免疫機構が自分の臓器を攻撃するというものです。発病後のことはかなり解明されてきました。 なりやすい体質とは,臓器移植などで、最近,有名になりましたので、皆様もご存じかと思いますが,HLAという白血球の型をきめる抗原があるのですが,その中でもHLA-DR4が陽性の人が関節リウマチになりやすいといわれています。もうすこし詳しく言いますと、日本人ではHLA-B1*0405が重症化しやすいと言われています。

問2,リウマチは老人の病気なんでしょうか?


関節リウマチの発病年齢は最近,高齢化しているというデータもありますが,実際には30代後半から50代の働き盛りの女性に多く発病する病気です。ピークは40歳代後半にあります。古くから神経痛とならんで,老人の病気のように思われていますが、実際はそうではなく、言葉がよく知られているわりには, この病気の実態が一般には認識されていません。膠原病の中でも最も多い病気であるということが良く認識されなければなりません。男女比は1対4〜5で、1000人中4〜5人前後の人がリウマチに罹患するといわれています。日本には70万人くらいの患者さんがいると推定されています。

問3,関節リウマチの診断については?

診断はそれほど簡単ではありません。1987年のアメリカリウマチ学会の診断基準にのっとって診断されるわけですが,症状が似ている病気はたくさんあります。リウマトイド因子だけで決定されるわけではありません。専門医の診断が不可欠です。

      《1987年改定アメリカリウマチ学会分類基準》
 
  1)朝のこわばりが少なくとも1時間持続すること(6週間以上)
  2)3つ以上の関節領域の腫脹がみられること(6週間以上)
  3)手関節または、MP,または、PIP関節(指の第2関節)領域の腫脹が
    みられること
  4)対称性の腫脹があること
  5)手のX線所見で異常がみられること
  6)皮下結節がみられること
  7)リウマトイド因子が陽性であること

このうち4項目以上があてはまるとき、関節リウマチと判断してよいことになっています。但し、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、混合性結合組織病は注意を要するとされています。

初期には関節リウマチ(以下リウマチと略します)に似た病気がたくさんあります。次の軽症の膠原病などもまぎらわしいものです。


問4,リウマチにまちがえられやすい軽症の膠原病とは?

昔の基準や考え方からすると、膠原病とは言えないし、現在でも、あえて膠原病と言う言葉を使わない場合があります。患者さんは膠原病という言葉から、非常に強い衝撃をうけますので、先生方のなかには、大したことがないと患者さんに言う先生もいます。また、リウマトイド因子も陽性にでることがあります。

むしろ最近、医学的には結合組織病という言い方をする場合が多いのです。膠原病(以下、結合組織病とします)は非常に裾野が広い病気です。軽症の場合,症状がいろいろあってもそれぞれの症状が軽い場合が多く,普段は全く症状がない時期もあります。以前に,リウマチ,あるいはリウマチの疑い,軽いリウマチ,また、使い過ぎ,あるいは、運動不足、老化による病気,自律神経失調症,更年期障害といわれていた患者さんの中に、軽症の結合組織病がまぎれ込んでいることがあります。


問5,軽い結合組織病の症状とは?

関節痛,筋肉痛,朝の手のこわばり,口内炎、そして,眼や口、皮膚、膣の乾燥感,喉の乾き,脱毛,日光にかぶれやすい,寒いとき指先が白くなったり紫になることがあるなどを訴える方がいらっしゃいます。そのほか易疲労感(えきひろうかん),微熱,不眠,肩こり,頭痛,また,ゆううつ感などもみられることがあります。内臓の異常がないのが特徴です。


問6,具体的に、何という病名がつきますか?

 結合組織病は病気のグループの名前です。軽症の場合、未分化型結合組織病とか,ボーダーライン(境界型)膠原病などといわれておりますが, ときに強皮症(石川医師のホームページをご覧ください)のなかで軽症のクレスト症候群(CREST)や, シェーグレン症候群であったり,軽症の全身性エリテマトーデス,あるいは、本当に初期の関節リウマチだったりします。また,結合組織病とはいえませんが,それに近い病気として線維筋痛症(私のホームページをご覧ください)や慢性疲労症候群などの場合もあります。それぞれ、診断基準があります。正確には専門医の診断が必要です。


問7,その予後はどうなるのでしょう?

いずれにしても,従来のいわれていた膠原病より軽症ですので,急激に進行することはありませんが,時に重症化することがあります。症状がかなり軽い場合はよいのですが、気になるとか、症状が辛い場合は毎月受診していただき、治療が必要となることがあります。ほどほどに我慢できて、治療の必要がない場合は、2〜3ヵ月に1回とか、6ヵ月に1回の定期的診察と検査をしていただきます。 もちろん、生活の注意点を指導します。一方、これは長い間には必ず重症化するというものではありません。改善してほとんど気にならない方もいます。


問8,リウマチには全身の合併症が多いと聞きましたが? 

他の結合組織病の合併もあります。また、症状が多彩で重症な場合,内臓病変の合併,すなわち,悪性関節リウマチの合併も考えなければなりません。これもすべて重症とはかぎりませんが、リウマチ結節,眼の上強膜炎,肺線維症(10〜20%)、心膜炎など血管炎の症状があります。
シェーグレン症候群の合併は長年リウマチを患っている患者さんでは頻度が高く、10から20%にみられると言われています。
また、シェーグレン症候群に間質性腎炎とか尿細管アシドーシスを合併することもあります。あるいは、リウマチそのものからくる腎障害、リウマチの炎症が由来で特殊な蛋白(アミロイド)が全身に沈着するアミロイドーシスと言う病気もあります。この場合、甲状腺、舌、腎、消化器の障害などが出ます。長期に続く下痢などもないがしろにできません。
最近、専門家の間で注目されている、抗リン脂質抗体症候群も注意が必要です。心筋梗塞や脳硬塞を起こしやすい状態が生じます。これは検査でわかりますし、治療である程度予防が出来ます。


問9,リウマチの病状は環境とは無関係ですか?

環境(職場や家庭内の人間関係、仕事の量と質,気候)がかなり影響します。日本の古くからの男尊女卑の文化,あるいは強い上下関係の社会など文化的背景が悪化の基盤のひとつでもあるでしょう。
気候も影響します。梅雨時は悪化する患者さんが多いといえます。病状の改善にはご本人がこの病気をよく理解することも大切ですが、周囲の人々の理解と協力も必要です。常に、良心的な書物や講演会などで勉強していただきたいと思います。一生続けてください。
精神的なストレスを非常に受けやすい病気です。データ(赤沈、CRPなど)がよいのに痛みが強い場合があります。また、正座したいという欲求がかなりつよい年輩の方がおられます。昔ながらの文化で、どうしようもないのでしょうが、発想を変えていかねばならないことでしょうね。


問10,リウマチの薬物療法についておしえてください。

後の資料にのべておきましたが、抗炎症剤、抗リウマチ薬、ステロイド剤の3者をバランス良く使用することが大事です。ステップダウンブリッジ法とか鋸の歯療法(Saw-tooth)とよばれ、効果をみながら薬剤を調節します。

               抗リウマチ薬の特徴

   1, 遅効性である。効くまでに2−3ヵ月かかること。
   2,  効く人と効かない人がいること (だいたい50〜80%ぐらいに効く)。
   3, 平均3年くらいで効かなくなることが多い。
     (ときには、10年以上効いている人もいます。)効かなくなったら他の
     ものに変更します。
   4, 副作用のチェックが必要なこと。高齢者(6O歳以上)は出やすい。
      血液と尿で骨髄造血器、腎機能,電解質、肝機能,
      また、胸部X線で肺線維症のチェックをします。皮膚炎もよくおこります。


問11,薬物療法と副作用について

高齢者は薬の使用が難しいのです。糖尿病、高血圧症、骨粗鬆症、腎障害、呼吸器障害、消化器障害などの合併に注意しなければなりません。検査データは正常範囲であっても,各臓器の余力が少ないので抗リウマチ薬は慎重に投与されます。(後記)
とくに、腎機能は年配になると,10年間に10%ぐらいの低下がみられるといわれており、注意が必要です。
抗炎症剤の選択についても注意が必要です。鎮痛剤はいずれも胃腸障害が多く、将来,胃腸障害が少なく、有効なCOX2阻害薬の出現が待たれます。このCOX2阻害薬は肝心な炎症の場所によく効き、胃腸障害などの副作用が少ないのです。21世紀には主流になるでしょう。

ステロイドの投与について:
プレドニゾロン1mg錠が出てきましたので、調節がし易くなりました。
もちろん副作用のチェックは重要ですが、一日量,9mg以下の少量投与では必要以上にこわがらないほうがいいと思います。
そして、プレドニゾロンはCOX2阻害薬の働きもあるようです。もちろん、一日10mg以下ですが。
(ステロイド剤の副作用は資料にあげてあります。後記)


問12,検査をなぜするのですか?

初期は関節リウマチかどうか? もちろんリウマトイド因子が重要ですが、それだけで診断はできません。各種の結合組織病で、リウマトイド因子が陽性になります。

年月がたちますと関節(関節破壊については今回は割愛します),脊椎,消化管、肺、腎臓などの病状の進行度のチェックのためにおこないます

病気の活動性は血沈,CRPなどでみますが,他の疾患の合併(心臓,肺,腎臓,内分泌,消化管など),また、他の自己免疫疾患の合併はないかどうか時に詳しく検査します。副作用のチェックだけではありません。

そのために,血液検査(白血球,赤血球,血小板,肝機能,腎機能,脂質代謝,糖代謝,電解質,抗核抗体,リウマトイド因子,各種自己抗体,甲状腺機能)を行います。
たとえば肝機能異常が見られた場合,薬剤の副作用の可能性も重要ですが,原発性胆汁性肝硬変とか自己免疫性肝炎など他の自己免疫疾患にも注意をはらう必要があります。

尿検査では糖と蛋白のほかに細胞などから腎障害の程度をみます。はじめは蛋白尿がでないリウマチの腎病変(間質性腎炎など)もありますので,総体的にチェックが必要でしょう。

そのほか,レントゲン検査(胸部,脊椎、骨関節),心電図,心エコー(心臓、甲状腺、腹部),骨密度,MRI(頚椎,腰椎,関節 ), CT(脊椎,関節,肺,リンパ節),  また,実際に紹介して,検査していただく眼科的検査(白内障,緑内障,上強膜炎,乾燥性角結膜炎など),耳鼻科的検査(シェーグレン症候群、副鼻腔炎など),内視鏡(胃,大腸,気管支)も時に必要なものです。


問13,リウマチのリハビリはなぜ必要ですか?
 
変形を予防し,筋力の低下を防ぐために行います。発病して,まもないころから,専門の作業療法士(OT)に指導を受けると良いと思います。高度の変形や機能障害にたいして,自助具などもOTに相談しましょう。また、効率の良い関節の使い方を学びますと関節炎の症状が改善します。


問14,手術が必要なのはどういう場合ですか?
 
手術でリウマチを直すわけではないのですが,多関節滑膜切除法などで,活動性をある程度の期間,沈静化させることは可能です。人工関節手術には手術のタイミングがあります。関節が強直(固まって動かなくなった状態)になったり,高度の屈曲拘縮をきたしたり,筋力の衰えが著しい場合は手術をしても結果がよくありません。そうなる前に行ったほうがよいでしょう。また,心臓,腎臓あるいは肺など呼吸器の高度の合併症がみられる場合も安易に手術にはふみきれません。

最近、人工股関節あるいは人工膝関節の手術が普及しましたので,リウマチで寝たきり,あるいは車椅子の生活を余儀なくされる患者さんは非常に少なくなりました。(手術については後の資料編もご覧ください)

また、頚椎の亜脱臼(特に上位頚椎)をおこす患者さんは非常に多く、装具療法でも亜脱臼が落ち着きますが、手術で支持性を確実にすることも効果があります。


問15,漢方,温泉,民間療法はどうでしょう?
 
漢方療法は,東洋医学の専門医が責任を持っておこなうことは,それなりに効果があるとは思います。しかし,検査データやレントゲン写真などで,長期に良く効いたかどうかの判定はむずかしいと思います。
温泉は自分の症状をよく理解して注意して入ることが,有効に利用するこつです。腫れが高度のとき,あるいは熱がある時には、熱い温泉に長時間入るのはよくありません。比較的ぬるいお風呂にゆったりと入って,関節をゆっくり動かすとか,出たあとは乾いたタオルでしっかりとぬぐうことも大切です。また,翌日疲れが残らないなど注意すべきことです。
そのほか,民間療法などは一概に無効であると,決めつけることはよくありませんが,本当に,関節リウマチに効果があったのか,それとも他の結合組織病に効いたのかをよく見極めて,利用することが大切です。関節リウマチに効いたかどうかは,数週間あるいは数ヶ月では判定が困難です。どれが本物かよく判断できる眼を養うことも必要でしょう。

 

関節リウマチ 療養のすすめ

              リウマチをよく知ろう
       
          (a)治療の4本柱
               1.基礎療法
                   生活の注意ー労働,休息,入浴,睡眠,食事
                   くすりの飲みかた,心の安静   
               2.リハビリ
                   リウマチ体操,日常の変形予防の動作
               3.薬物療法
    
               4.手術 (滑膜増殖、関節破壊、脊椎亜脱臼、腱断裂に対して)

          (b)薬物療法の3本柱
               1.抗炎症剤
               2.抗リウマチ薬
               3.ステロイド剤

 

 

☆☆ リウマチとは? ☆☆

   ★広義には上肢,下肢あるいは体幹の疼痛をおこす病気の総称です。最近はリウマチ病と言います。

   ★狭義(正確には)には関節リウマチのことを指します。
                         (別の機会に詳しく解説します)


☆☆ 膠原病(結合組織病)とは? ☆☆

関節リウマチをふくむ,関節リウマチの親戚の病気のグループです。
関節リウマチも膠原病です。自己免疫疾患の分類に入ります。
細胞や組織をつなぐ膠原線維の炎症が起こる病気です。
関節炎を起こすことが多く,一見,リウマチに見えます。
関節炎以外には皮膚,筋肉,眼球,涙腺,舌、口腔粘膜,唾液腺,甲状腺,リンパ節, 鼻腔,呼吸器, 腎,肺,膵,肝,消化器,神経系,脳,心臓にもおこります。

最近,症状の軽いうちに診断をつけ(早期発見),重症にならないよう,早期治療と経過観察が重要だと叫けばれています。こわがらないで,検査を受けましょう。ささいな症状や身体の所見から発見されることがあります。
かならずしも深刻になることはありません。増悪しないよう,様々な注意を主治医に聞いて守りましょう。

    
◆膠原病(その類似疾患)には何があるのでしょうか?

       関節リウマチ
       悪性関節リウマチ
       若年性関節リウマチ
       全身性エリテマトーデス
       シェーグレン症候群
       強皮症
       CREST症候群
       多発筋炎
       皮膚筋炎
       壊死性血管炎
       抗リン脂質抗体症候群
       結節性動脈周囲炎
       混合性結合組織病
       未分化型結合組織病
       鑑別不能結合組織病
       その他

   ◆そのほか膠原病ではありませんが、診断に注意が必要なもの。

       強直性脊椎炎
       ベーチェット病
       腸炎関節炎(潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病に伴う)
       乾癬性関節炎
       掌蹠膿疱症骨関節炎
       反応性関節炎(咽頭炎、赤痢Shigellaなど)
       ライター症候群
       血清反応陰性脊椎骨関節症
       HIV にともなう関節症
       ウイルス性関節炎
       慢性疲労症候群
       線維筋痛症
       肥大性関節炎(肺など呼吸器疾患に伴う)
       特発性びまん性骨増殖症(DISH)
       変形性脊椎症(過骨形成性脊椎症もふくむ)
       Enthesopaty
        変形性関節症
       痛風性関節炎
       偽痛風
       リウマチ性多発筋痛症
       回帰性リウマチ
       化膿性関節炎(時に多発性に発病する、透析患者、膠原病、高齢者)
       結核性関節炎(ステロイド投与中)
       悪性リンパ腫(シェーグレン症候群に関連あり)
       多発性骨髄腫
       甲状腺疾患にともなう関節症状
       アミロイド関節症(人工透析などをしている患者さん)
       その他

 

 関節リウマチの薬物療法

薬物療法は抗リウマチ薬、抗炎症剤、ステロイド剤の三者を調節しながら使います

 とくに抗リウマチ薬には10種類近くの薬剤があるのですが全体に共通した特徴がありますが、個々の違いがあります。

 共通した特徴は
1)遅効性であること(2〜3カ月かかって、効いてくる)
2)効果の出る人とでない人がいること(40〜80%)
3)効果は平均3年ぐらいで消失すること
4)副作用のチェックが大切なこと(高齢者にはとくに注意)
  高齢者(6O歳以上)は出やすい。血液と尿で骨髄造血機能、腎機能,電解質、肝機能,
  また、聴診や胸部X線,CTで肺線維症のチェックをします。皮膚炎もよくおこります。

この4点はどうしても押さえておきたいところです。それぞれの薬物によって,副作用の出方はまちまちです。いずれも異なった特徴があるので,担当医師と相談しながら服用しましょう。

個々の薬剤については上記に加えて
効き目の弱い順におおまかに並べますと
1、カルフェニール 2、モーバー 3、リドーラ 4、アザルフィジンEN
5、メタルカプターゼ 6、リマチル 7、シオゾール 
8、ブレディニン(かなり弱い)
9、リウマトレックス(メソトレキセート) 

1から7までを免疫調節剤といい、8と9,は免疫抑制剤、9はとくに抗ガン剤として使われていました。
メソトレキセートはアメリカでは1988年にリウマチの治療薬としてFDAに認可されました。日本では最近、厚生省が認可しました。

比較的活動性の低い状態、あるいは高齢者には2から3を使います。
かなり活動性が高く症状の強い患者さんには5、6、7、9、のいずれかから始めます。いずれにせよ
効果が発現するまでに2〜3カ月かかるわけですから、その間はステロイドの関節注射、あるいは少量のステロイド剤の経口投与も行います。また、これだけでは鎮痛効果は不十分なので、患者さんの年齢や状態に合った抗炎症剤を選択します。

 

 ステロイドの副作用
                   (北里大学、前田信治先生の著書から改編)

軽症な(経過をみながら症状が強いときは治療を必要とする)副作用

・にきび
・食欲亢進・体重増加
・満月様顔貌(ムーンフェイス)
・むくみ(手足顔面のむくみ)
・月経異常
・多毛症
・白血球増多
・多尿・汗かき・ほてり

重症な(投与を中止したり慎重に投与しなければならない)副作用

 副作用          自覚症状         検査所見
胃・十二指腸潰瘍     腹痛・黒い便       便潜血・胃カメラ検査
感染症誘発・増悪     発熱・瘤痛        白血球増加・炎症所見増悪
糖尿病誘発・増悪     口渇・多飲・多尿     血糖値上昇・尿糖陽性
精神障害          不眠・興奮
骨粗鬆症・骨折、      腰背部痛など     レントゲン上の骨透過性亢進,骨密度低下
血圧上昇          肩こり・めまい      血圧上昇・動脈硬化増悪
副腎不全           疲れやすさ       副腎ホルモン低下
白内障            眼前の白い浮遊物   眼科的診察
無腐性大腿骨頭壊死   股関節痛など      レントゲン写真・MRI
筋力低下 脱カ感      筋電図検査

 

 リウマチの人工関節の手術の目的と注意すること・・

【概要】
リウマチ病変により破壊された関節面を削り取り,人工の関節で置き換えます。
正常に近い歩行が出来るようになります。このため、最近、寝たきりの患者さんは相当減りました。
現在,人工膝関節は,ほぼ完成された状態に近いのではないかといわれています。
膝関節では約90度から120度の屈曲が可能となります。股関節は約90度弱の屈曲が可能です。
年齢や関節破壊の状態,全身の状態により,セメント使用,セメントレス,ハイブリッドの
3種類の方法があります。骨移植を行う場合もあります。


【手術が難しい場合はどんな場合でしょうか?】
 [内科的問題]
意欲がない。
痴呆がはじまっている。
肺線維症あるいは胸膜炎などの進行した呼吸器障害。
心嚢炎あるいは心筋炎などの問題。高度の腎障害。コントロールが難しい糖尿病。
そのほか重篤な合併症

 [整形外科的問題]
高度の屈曲拘縮。筋力低下が著しい。高度の骨破壊。骨強直。骨粗鬆症が高度。
感染症がかなり関与している関節破壊。

【手術について】
 [輸血について]
自己貯留血輸血,回収血輸血。放射線を照射した濃厚赤血球輸血。

 [麻酔について]
麻酔は全身麻酔です。麻酔科医師が担当します。
硬膜外麻酔などを併用して,安全に手術できるように努力していただいております。

 [手術についての注意すべき問題]

関節局所の問題
人工関節の手術中の感染予防のために,バイオクリーンルーム,宇宙服に似たガウンを使用することにより落下細菌,および,術者からの術中の感染は非常に少なくなっています。
しかし,人工関節手術全般では1%弱の方に、手術後の関節に化膿症が起こる可能性があります。
糖尿病,高齢者,ステロイド服用者のかたは感染の可能性がすこし高くなります。
関節リウマチの人工関節手術の場合、2%程度に手術した関節に感染が起こる様です。
手術後、何週間とか何ヵ月か経っておこる遅発性の感染もあります。
全身の問題 :リウマチ患者さんは特に全身合併症の注意が必要です。

 

 関節リウマチの薬物療法

薬物療法は抗リウマチ薬、抗炎症剤、ステロイド剤の三者を調節しながら使います

 とくに抗リウマチ薬には10種類近くの薬剤があるのですが全体に共通した特徴がありますが、個々の違いがあります。

 共通した特徴は
1)遅効性であること(2〜3カ月かかって、効いてくる)
2)効果の出る人とでない人がいること(40〜80%)
3)効果は平均3年ぐらいで消失すること
4)副作用のチェックが大切なこと(高齢者にはとくに注意)
  高齢者(6O歳以上)は出やすい。血液と尿で骨髄造血機能、腎機能,電解質、肝機能,
  また、聴診や胸部X線,CTで肺線維症のチェックをします。皮膚炎もよくおこります。

この4点はどうしても押さえておきたいところです。それぞれの薬物によって,副作用の出方はまちまちです。いずれも異なった特徴があるので,担当医師と相談しながら服用しましょう。

個々の薬剤については上記に加えて
効き目の弱い順におおまかに並べますと
1、カルフェニール 2、モーバー 3、リドーラ 4、アザルフィジンEN
5、メタルカプターゼ 6、リマチル 7、シオゾール 
8、ブレディニン(かなり弱い)
9、リウマトレックス(メソトレキセート) 

1から7までを免疫調節剤といい、8と9,は免疫抑制剤、9はとくに抗ガン剤として使われていました。
メソトレキセートはアメリカでは1988年にリウマチの治療薬としてFDAに認可されました。日本では最近、厚生省が認可しました。

比較的活動性の低い状態、あるいは高齢者には2から3を使います。
かなり活動性が高く症状の強い患者さんには5、6、7、9、のいずれかから始めます。いずれにせよ
効果が発現するまでに2〜3カ月かかるわけですから、その間はステロイドの関節注射、あるいは少量のステロイド剤の経口投与も行います。また、これだけでは鎮痛効果は不十分なので、患者さんの年齢や状態に合った抗炎症剤を選択します。

 

 塞栓症についての諸問題

塞栓症とは血管になんらかの物質がつまって、異常をきたす状態です。
考えられているものは、血栓、脂肪、空気などです。 塞栓症によって起こりうるものは極めて重篤な状況です。脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓、四肢の塞栓、そのほかです。

今回は血栓について特に述べます。
血液中の凝固異常により、血栓症を起こします。手術中以外にも、手術後の訓練期間に起こったりする場合があります。手術が順調でもその後、訓練が始まったりしてから起こることがあります。手術後に圧迫包帯やストッキング、および、関節の運動を行うのはそのためです。

凝固異常を起こす状態は様々です。体質的に凝固異常の状態を持っている場合がありますし、また、手術の種類や疾患によって凝固異常をきたすことがあります。 リウマチ科では膠原病内科医師との相談のもと下記の状態について注意してゆくことになりました。また、リウマチ科で手術を受ける患者さんには、極めて血栓症を起こしうる状態が多いことが当院の調査で分かりました。
抗リン脂質抗体症候群は膠原病、とくに全身性エリテマトーデスで多い病気とされてきましたが、関節リウマチでも高頻度に見られることが最近、当院の調査で判明しました。とくに手術を受けられる患者さんはリウマチの状態があまり軽いとはいえず、このような抗リン脂質抗体が、高頻度で存在することが推測されます。その理由は詳しくは分かっていません。最近、日本リウマチ学会でも注目されるようになりました。

抗リン脂質抗体を持っている患者さんの血栓症の予防処置について
1)手術直後は出血を少なくする処置が重要です。血栓症にたいする薬剤の予防は、難しいので、現在はAVインパルスという、ごく軽度の電気的なパルス刺激を下肢に与えて、血栓症の予防法をおこなっています。手術後の訓練が始るまで行います。
2)手術後、早めに関節の訓練を行うこと。また、起立、歩行訓練も従来より早めます。
3)下肢の手術にたいしては、圧迫包帯、綿包帯あるいはストッキングを数日間、訓練が始まるまで装着する。
4)手術後、第3日めから抗凝固療法を始めます。方法はヘパリン、アスピリンなどです。
それ以上の詳細については現在検討中です。というのはこのために関節に血腫の頻度が増大したという報告が外国であります。日本では新しい考え方です。漸次、変更し、また改良されます。

なお、抗リン脂質抗体を有する方以外でも、凝固異常を有することが予測される場合は上記に従います。上記以外でも骨盤や下肢の手術、あるいはそのほか脊椎などの大手術では肺血栓塞栓症が最近報告されています。また、関節や骨の手術は骨髄をかなり強度に操作しますので、脂肪塞栓症などの問題も起こります。
以上の問題が顕著に起こりますと、致命的であることもありますし、あるいは埴物人間、あるいは脳死の状態になることもありえます。予防処置については考えられる限りの努力を払っていることを御理解ください。